#学年末統一試験　魔法薬学

これはまさか忘れている仔犬はいないだろう。先日も２年生３人が魔法薬調合の際誦じていたと聞いたぞ。忘れていた仔犬がいれば次学年になる前にもう一度頭に叩き込め。

１年生の仔犬からしても既に遠い思い出かもしれんな。基礎の基礎、始めは薬草と毒草の「見分け方」を覚えておかねば簡単な塗り薬でさえも作り上げることは出来ん。

選択肢に惑わされるな。平時の灯火の花は蕾を付けてから開花まで2,3年を必要とする。その長い蕾の期間を何故植物自身が設けているのかよく考えてみれば…どこに魔力が蓄積されているのか解るはずだ。

正解は───おや、１年生の課題だというのにどうやら手助けをしたお人好しな仔犬がいたようだ。俺の授業をよぉく聞いていれば調薬に失敗する、ということはないな？

バルガス先生の課外授業でも取り扱われたこの薬は、運動部にとってはお馴染みだな。……間違えるにしても実在しない薬草に引っかかった仔犬はいないと信じている。

魔法薬の調合は材料を過不足なく揃え臨機応変に対応する、ということが最も大切だ。よって折角服装を整えたというのに身に付けるアクセサリーの数でバランスを崩すようなことはあってはならない。お前のセンスと暗記力の結果は…ふうん。成程。

魔力を注いだ結果あの叫び声がオペラ歌手のようにビブラートが付くようになった、なんてことになればそれはそれで面白いが。これは３年の選択授業で実践するから、間違った下級生の仔犬は予備知識として予習し直しておくように。

異名は「海のカナリア」ともされる。最近では人間の声を真似て鳴いてみせたという報告も上がって来ている。魔法士のパートナーとしても適性が高い…かもしれないな。

以前のテストで見せたものだな。 この１年、お前たちと過ごした時間の中で起きた事件や思い出は全て覚えている。この戯れを見たことが無かった仔犬ともより言葉を重ねていく時間を楽しみにしているぞ。…では、サマーホリデーを楽しみに。良い結果を俺に見せてくれ。