微分積分から偏微分方程式まで #解析学クイズ(誤字訂正・加筆版)
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正答率などの反映は少し遅れることがあります。
1. 定義域全体で微分不可能な連続関数が存在する. (「定義域」は内点を含むとする)
ワイエルシュトラス関数または高木関数と呼ばれる関数がその例です. (例えば, 猪狩「実解析入門」または高木「定本 解析概論」参照)
2. 連続関数の不定積分はC^1級であり, その関数の原始関数である.
ちなみに不連続関数の不定積分は存在するとは限らず, 存在してもその関数の原始関数とは限りません. (例えば, 長岡「本質の研究 数学Ⅲ+C」,「定本 解析概論」参照)
3. Rにおいて広義リーマン積分可能だが(R上のルベーグ測度について)ルベーグ積分不能な関数が存在する.
例えば x→sin(x)/x, x→cos(x^2) など振動するがゆえ広義リーマン積分は収束するが正部分と負部分は発散する例があります. (例えば, 森「ルベーグ積分超入門」参照)
4. 複素平面Cの領域D上の関数f=u+iv:D→Cが正則であるための必要充分条件は
- 実部uと虚部vが全微分可能でコーシー-リーマン方程式を満たすこと
- 実部uと虚部vが偏微分可能でコーシー-リーマン方程式を満たすこと
- 実部uと虚部vが実解析的であること(冪級数に展開できること)
実解析的であってもDでコーシー-リーマン方程式を満たさない例とDの任意の点で偏微分可能だが連続でない点がDに存在する例が反例を与えます.
5. 多変数複素関数が正則であるための充分条件を述べているのは?
- ローマンの定理
- 各変数ごとに正則であること
- 各変数ごとに偏微分可能でコーシー-リーマン方程式を満たすこと
ハルトーグスの正則性定理です. ローマンの定理は1変数複素関数についての定理です. (後者は,「新版 複素解析」(基礎数学8)や(fの連続性の仮定が抜けていますが)藤岡敦さんの「具体例から学ぶ 多様体」を参照)
6. 数え上げ測度(可算集合の元の個数を与える測度)やルベーグ測度を本質的に含む(正の定数倍の違いしかない)距離空間における測度とは?
ハール測度は(局所コンパクト位相)群上の不変測度の例で群は距離化可能とは限りません. (小林-大島「リー群と表現論」や河添「群上の調和解析」参照. ) またジョルダン測度とはR^n上のn次元体積のことです.
7. 全ての局所可積分関数は超関数である.
このことは実解析的偏微分方程式論では当たり前のように使われています.
8. L^p空間の拡張(L^pと特別な場合で一致し一般には真に含む空間)はどれ?
- 斉次トリーベル-リゾルキン空間
- 斉次ベゾフ空間
- シュワルツ空間
斉次ベゾフ空間とL^p空間はp=2の場合しか一致しません. シュワルツ空間はL^p空間より狭いL^p(R^n)の稠密部分空間です. 小川「非線型発展方程式の実解析的方法」や小薗「クレイ懸賞問題 ナビエ-ストークス方程式のいま」(PDF)参照.
9. コンパクトなケーラー多様体のケーラー-アインシュタイン計量の存在問題を述べる偏微分方程式は?
- 複素モンジュ-アンペール方程式
- 非線型クライン-ゴルドン方程式
- ベンジャミン-小野方程式
不正解の選択肢の二つはいずれも物理学の方程式です. (中島「非線形問題と複素幾何学」や小川「非線型発展方程式の実解析的方法」あるいは小薗-小川-三沢「これからの非線型偏微分方程式」参照)
10. 線型作用素の生成する半群についての関数解析の定理は?
- ヒレ-吉崎の定理
- ヒレ-吉田の定理
- ヒレ-吉川の定理
溝畑「偏微分方程式論」;黒田「関数解析」;藤田-黒田-伊藤「関数解析」;宮寺「関数解析」に書かれていますが他に書かれてある和書は知りません. ご存知でしたら教えてください. ちなみに吉田の綴りはYosidaでありYoshidaではありません. 念のため.
微分積分から偏微分方程式まで #解析学クイズ(誤字訂正・加筆版)
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